wasuremono60のブログ

突然ブログをはじめました

SUPER RICH・・・青春群像劇だった

 フジテレビと相性が悪いと言いながらも、結構見てますね。ということで、「SUPER RICH」が終了しましたので、感想です。


 テーマというか、エピソードはすごいです。現代的な話題を、これでもかと込めました。
生まれた環境による経済格差、パワハラ、LGBT、女性の働き方改革。それに歳の差結婚に三角関係という恋愛要素と、主人公の病気、さらには仲間の裏切りや乗っ取り等々・・・。これだけのことをやろうとしたことは、大いに評価したいです。特に我々日本人が直面している社会的問題に、切り込もうとしたことは素晴らしい。ひとえに盛り込みすぎでした。


 ネットで知ったのですが、「監察医朝顔」のスタッフ・チームだったようです。「朝顔」はとても丁寧な作りで、震災のトラウマを克服しようとする父子の、傑作法医学刑事ドラマでした。この時の成功体験を、残念ながら応用できませんでした。


 「SUPER RICH」は恋愛ドラマであり、社会派ドラマであり、さらには青春群像劇の側面もあり、それぞれを期待すると、それ以外で裏切られます。残念ながら、どの面でも楽しめたとは言えなかったでしょう。唯一成功したのは、最も期待されていない群像劇ではないでしょうか。結果的に三角関係は不要でした。歳の差恋愛からの結婚で、十分でした。また、パワハラやLGBT、女性の働き方などの問題が、青春群像的な解決・・・「仲間を信じよう」では、あまりに掘り下げが浅い。


 やろうとしていることは、決して悪くありません。もう一度「朝顔」の成功体験を、思い出してください。社会派テーマは1つに絞りましょう。群像劇にするなら、恋愛要素は薄めに設定してください。とにかく、盛り込み過ぎないようにしてください。次から次へ刺激を注入しないと、面白くならないという強迫観念を捨てください。それよりも、丁寧に物語を紡いでください。それができたチームなんですから。今回の取材の蓄積が、これからの脚本に活かされるといいですね。

鎌倉殿の13人 「大いなる小競り合い」

 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が、いよいよ始まりました。私は三谷幸喜さんの大ファンで、演劇・映画・ドラマと、ほぼ見てきました。ファンではありますが、作品に「あたり・はずれ」は、あると思っています。これだけ作品があれば、はまった作品もあれば、はまらなかった作品もあるのは当然です。しかし「はまり度」の高さが、途方もない高さ故に、ファンになってしまいました。


 さて第1回の感想ですが、過去2回の大河作品よりも、さらに期待できそうです。毎度のことですが、昔からの大河ファンを標榜する方々から、「重厚さがない」「セリフや動作とかが現代風でシラける」「悪ふざけ」など、批判も多数。でも、あのドラマがより重厚なら、面白くなるのか。(当時の言葉遣いそのままでは、現代人は理解できないので)時代劇風なセリフなら、面白くなるのか。悪ふざけをやめれば面白くなるのか。・・・かえって、つまらなくなりませんか?


 私が三谷作品を鑑賞する時は、まず小ネタで笑う。伏線の回収で唸る。時に時代を風刺するようなエピソードに感動する。こういう姿勢で見ます。小ネタで引き込まれ、次々と展開するエピソードに、いつの間にか夢中になっていると、最後に感動が待っている。もちろんすべての作品で、こううまくいくとは限りませんが、完落ちした時の快感は、この上ありません。


 第1回は、次のように展開します。
①1175年の秋、父時政は都から3年ぶりに北条家の館に帰って来て、館では酒宴が催されている。義時は、祖父の伊東祐親が、娘八重に子供まで儲けた上に、逃亡している源頼朝を探していることを知る。
②兄、宗時が、頼朝を我が家にかくまっていることも知るが、それを知った姉政子が頼朝の気を引こうとする。
③義時は、心を寄せていた八重に会いに、伊東の館に頼朝の文を持って行く。
④伊東祐親が兵を率いて北条にやってくるが、義時が頼朝を馬に乗せ、逃る。
 これから登場する歴史上の有名人たちは、最後にさらりと紹介し、とりあえず北条氏一族と頼朝の顔見世は、無事終了しました。


 小ネタ多数ありましたが、もっとも笑えたのは、政子と頼朝の蹴鞠のシーンで、頼朝がリフティングの技(名前はわかりません)で蹴った場面でした。大爆笑しました。
 
 ドラマ前半で、北条がかくまっていた頼朝が、伊東祐親にバレそうになるのを義時が必死で隠そうとする場面があります。あまり深入りしませんでしたが、三谷さん好みの場面で、きっとこれだけで芝居ができると思ったことでしょう。しかし全体のことを考えて、自重しましたね。とまれ、第2回以降が楽しみです。

三体・・・三体問題を知る

 劉 慈欣(リウ・ツーシン)作、「三体」(早川書房)を読了しました。あくまでも、三部作の一部のみです。私はSFファンではありませんが、とても面白かったです。


 タイトルの『三体』とは、太陽が3つある惑星のことで、その惑星の宇宙人とコンタクトしたところ、宇宙人たちが地球を滅ぼすためにやってくる話です。感想を見ると、「文化大革命」の章が、よくわからないという人が多いのですが、文系の私にはこのあたりはとても面白かった。逆に物理に関するエピソードが、やはり難解でした。


 「三体問題」は、私なりにイメージしながら読みました。いまだに完全には解決されず、現在でも科学者がその答えを探し続けていることなので、あくまでも自分勝手なイメージです。しかし、終盤に出てくる三体世界では、9次元までを操作する技術を有しているとか、智子という、1個の陽子であるコンピューターとかは、全く理解不能でした。


 そういうわけで、お前には本当の面白さはわかってない、と言われそうです。しかしそれでも面白かったです。面白く感じる最大の理由は、翻訳された文章がとても読みやすいことです。正直全く理解できない場面もありましたが、それなりに十分楽しめました。今まで海外の有名なSF小説を読んでも、翻訳された文がちっとも頭に入ってこないので、楽しめませんでした。翻訳小説がダメという訳ではないのですが、SFに関しては良い思い出がありません。しかし「三体」は、違いました。


 村上春樹ファンや、文学愛好家からは笑われそうですが、村上春樹の小説を読むように、読めました。ストーリーも、その難解さの部分も含めて、私には村上春樹の小説と錯覚するくらいの感覚になりました。何を隠そう、私は小説家では村上春樹が一番好きなのです。その村上春樹を読んでいる感覚になったのでから、面白くないはずがありません。


 2部3部も、これから読もうと思っています。読書はするのですが、最近は小説を読むことがなく、久々に小説の面白さに触れることができました。「村上春樹が好きです」などと言いながら、何年も忘れてたことに気づきました。